タイ・バンコクの地下鉄MRTの延伸先は観光スポットの宝庫だった

ワットアルン
ワット・ポーそばの人気レストラン「ザ・デッキ」から眺めた暁の寺

バンコクの地下鉄MRT(Mass Rapid Transit)は、高架電車のBTSとは対照的に住宅街などを結んでいる印象が強く、これまで観光客にはあまり使い勝手がいい路線だとは言えなかった。特にゴルフメインの人には、あまり関係ないといえばない。
しかし、2019年8月からかねてより工事が続いていた延伸部分が開通し、9月に入った段階でBTSシーロム線のバンワー駅に接続され、かなり使いやすくなってきた。特に、延伸で誕生した7駅の大半は観光スポットが連なっているので、観光客にも便利だ。これらは旧市街にあたるため、道路が狭く、日中は交通渋滞が激しい。そこを地下鉄で一気に行けるようになったので、ゴルフ以外の観光をする際のメリットは大きい。
そこで、今回はそんなMRTの延伸部分の駅から行ける代表的な観光スポットを見てみることにしよう。

中華街がついに地下鉄で行けるようになった「ワット・マンコーン駅」

中華街
中華街の屋台にあった、鉄板焼きの麺料理

タイ最大の中華街ヤワラーは、ヤワラート通りを中心としたエリアだ。1880年ごろから形成され始めたこの地域は、昔ながらの姿を残し、ややタイ・ナイズされた中華料理などが多く、魅力がある。看板は中国語のほかタイ語もあり、他国のチャイナタウンともまったく違った姿は観光客にもおすすめだ。
この辺りも旧市街の外れになるので、昔から人々が住んでいた。特に中国からの移民が住んでいたので、中華街として形成された場所でもある。タイ人はあまり過去のことを気にしない性質があり、タイ族に同化している中華系移民の子孫たちもあまり表には出さないものの、100年以上営業している店も少なくない。
また、高級店から屋台までなんでも飲食店が揃い、特にフカヒレは本場中国の人たちも安くておいしいとヤワラーを訪れる。
それから、ヤワラート通りに並行して走るサンペーンレーンという裏路地は、小物や雑貨が売られているショッピング・ストリートで、土産ものなどを探すのに向いているだろう。

タイ仏教最高峰の寺院などはここ「サナーム・チャイ駅」

ワットポー
ワット・ポーで最も有名な涅槃像も地下鉄で行けるようになった

今回のMRT延伸部分開通で最も注目されていると言っても過言ではない駅はこの「サナーム・チャイ駅」だろう。というのは、国宝級の展示物がある博物館や、タイ仏教だけでなく東南アジア全体の上座部仏教に強い影響があるとされる寺院、観光スポット各種が盛りだくさんになったエリアに近いからだ。さすがにその地域のど真ん中に駅を造ることはできなかったようだが、これまではタクシーなどで行くしかなかった場所に、格安の料金で行けるようになったことは大きい。
駅から行ける有名寺院では、タイ最高峰の寺院である「エメラルド寺院(ワット・プラケオ)」、タイ古式マッサージの総本山として、医学学校を併設した「ワット・ポー」、歴史的な仏教美術を中心に展示物が充実している「国立博物館」などがある。歩くと10分以上はかかってしまうが、土産物店も連なっているので、徒歩で行けないということはないだろう。

カオサン通り
低予算旅行者から再びカオサンが注目されるかもしれない?

安宿街で有名なカオサン通りもこの駅から行こうと思えば行ける距離感だ。近年は安宿よりもバーなどのナイト・エンターテインメントのスポットとして人気が高いが、相変わらず欧米人なども多いので、全体的に国際的な、タイらしい雰囲気があって楽しめる。
このようにサナーム・チャイ駅は、特に旧市街の見所の中心がすべて詰まったような駅になっている。

チャオプラヤ河を越えた最初の駅は「イサラパープ駅」

日本製の蒸気機関車
終戦直後にタイ米と交換でタイに納入された日本製の蒸気機関車

「イサラパープ駅」からはやや住宅街の雰囲気が強くなる。ただ、この辺りはチャオプラヤ河を越えているため、前王朝「トンブリー王朝」(1767~1782年)の王都があった地域でもあることから、街の雰囲気はがらりと変わると言ってもいいかもしれない。つまり、散策をする楽しみはある。ただし、夜間の治安は極端に悪くなるので、明るい時間帯に歩くことをおすすめする。
この駅から近い観光名所は三島由紀夫の小説でも知られる暁の寺「ワット・アルン」だ。といっても、駅近というわけではないので、事前にマップを入手して行くこと。便利とは言いがたく、もし先のワット・ポーなどを巡る予定であるなら、サナーム・チャイ駅で下車し、ワット・ポー近辺から出る渡し船でワット・アルンに向かった方がいいかもしれない。
また、タクシーなどを利用することが前提だが、イサラパープ駅は「国立シリラート病院」に最寄りの私鉄駅となる。この病院には医学博物館があり、日本人からは死体博物館と呼ばれ、人体標本の展示物を見学できる。
それから、この病院そばにタイ国鉄の「トンブリー駅」があり、ここの機関区(車庫兼整備工場)に行けば、太平洋戦争終戦直後に日本から納入された蒸気機関車を見学できる。本来は立ち入り禁止だが、職員に頼めば入らせてもらえるので、日本でもなかなか見られないSLを間近に見ることができるだろう。

インスタ映えスポットして日本人に人気のあそこへ「バーンパイ駅」

ワットパクナム
インスタ映えで大人気になっているワット・パクナムの天井画

ここのところインスタ映えするとネットで話題になったことからたくさんの日本人が訪れるようになった「ワット・パクナム」という寺院がある。仏塔の中にある天井画が美しい、タイでも有数の寺院だ。
この寺院はこれまではタクシーか、BTSのラーチャプルック駅などからしか行けなかったが、「バーンパイ駅」開通のため、ここからも行けるようになった。ただし、駅からは20分弱くらい歩くので決して近いわけではなく、行き方によっては次の「バンワー駅」からも徒歩で行きやすい。

MRTマップ
バンコク都が計画する、今後の首都圏鉄道網の完成予想図

MRTは地下鉄という認識ではあるが、チャオプラヤ河を越えるとBTS同様に高架線になる。このバーンパイ駅はそんなMRTの別の路線の乗換駅にもなるので、河の西岸の旅行が今後楽しくなることだろう。
現在の終点であるバンワー駅はBTSシーロム線に乗り換えることができ、また、近くのタイ人に人気の週末水上マーケット「クローン・ラットマヨム水上市場」もある。
これまではMRTは生活の足というイメージで、BTSほど観光客に便利ではなかったが、いよいよ使いやすい路線になりつつある。特にチャオプラヤ西岸は在住者でもあまり足を運ばない地域だったので、新しいバンコクをみつけたい人にはうってつけのエリアだ。一番乗りで新発見をしたい旅行者にはおすすめである。

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