数奇な運命を辿ったタイシルク王 ジム・トンプソンが暮らした家「ジム・トンプソン・ハウス」
タイを代表するラグジュアリーなタイシルクブランド「ジム・トンプソン」。なめらかでやわらかな手触り、つややかな光沢、上品で洗練されたデザインと柄。ハイクオリティーな「ジム・トンプソン」のシルク製品は、タイを訪れたならぜひとも手に入れたい逸品です。
伝統的なタイ式家屋を6棟つなぎ合わせて1軒にしたジム・トンプソンの家
ジム・トンプソンとはどんな人物?
「ジム・トンプソン」の生みの親は、アメリカ出身のジェームズ・ハリソン・ウィルソン・トンプソン氏。もともとニューヨークで建築家として活躍していましたが、第二次世界大戦時に自らアメリカ陸軍に志願しました。そして、現CIAの前身機関であるOSSに転属され、インドシナ半島へ。1945年に8月に戦争が終結後も彼はタイにそのまま留まる決心をし、名門ホテル「オリエンタル・ホテル(現マンダリン・オリエンタル・バンコク)」の経営に携わった後、当時衰退の一途を辿っていたタイシルク産業に可能性を見出し、復興に力を注ぐようになりました。
その結果、ハリウッド映画「王様と私」の衣装として使用されたことをきっかけに、欧米諸国でタイシルクが評判となり、ジム・トンプソンは「タイシルク王」として、世界に広くその名が知れ渡るようになったのです。
ところが、1967年3月26日、バカンスで訪れていたマレーシアの避暑地・キャメロンハイランドにて、忽然と消息を絶ってしまったのです。誘拐? 暗殺? それとも事故なのか。あらゆる方面から捜索活動が行われましたが、一切手がかりがつかめず、失踪の真相は今も深い謎に包まれたまま……。
そんな数奇な運命を辿ったジム・トンプソンが8年間暮らした家が、BTSナショナル・スタジアム駅から程近い場所にあります。現在は、博物館として公開されており、部屋の内部やアジア各地から収集したアンティーク品を見学することができます。
繭から糸を取り、紡いでいく様子を実演
緑の美しい敷地内
生前暮らした家には、貴重な仏教美術や骨董品がずらり
ジム・トンプソンの家は、総チーク造りの伝統的なタイ式家屋。アユタヤから移築してきた家など、全部で6軒の家屋をつなぎ合わせてひとつの大きな家として構成されているのが特徴です。タイの伝統家屋は泥棒や害虫から逃れるため高床式となっており、外に取り付けた梯子から家の中に入るのが通常ですが、ジム・トンプソンは1階部分に大理石を敷き、内部に階段を取り付けて2階に上がれるようにアレンジして暮らしました。
通常は高床式の家屋の1階を玄関にアレンジしていた
家屋内には、タイだけでなくミャンマーやカンボジアなどから収集した7世紀頃〜19世紀の仏像、18、19世紀頃に造られた美しい中国式の絵付けがされたベンジャロン焼きや、金を多く使ったカラフルなライナムトーンの食器など、貴重な美術コレクションが多く展示されていて、見応えたっぷりです。
7世紀の貴重な仏像
運河を臨む書斎は、ジム・トンプソンが1日のうちの多くを過ごした場所。というわけでここにはジム・トンプソンがとりわけお気に入りだった骨董品を多く集めていたのだといいます。風通しの良いリビング、客間、ベッドルームも、彼の愛蔵品が多く展示されているので、ぜひ、時間を掛けて見学してみてください。
家の中に入るにはガイドの同行が必要です。日本語ガイドも常駐しているので、ご安心を。
日本語ガイドも常駐しています
見学の後はおいしいタイ料理とショッピングを楽しむ
敷地内にはもちろん、スカーフやクッションカバー、洋服など美しいタイシルク製品が買えるショップ、タイ料理がおいしいと評判の高いレストラン、カフェが併設されています。じっくり見学したあとはショッピングとおいしい食事やお茶を楽しんでください。
上質なタイシルク製品が揃うショップ
併設のカフェではのんびりひと息。別棟にあるレストランは料理がおいしいと評判
【データ】
名称:Jim Thompson’s House
住所:6 Soi Kasemsan 2,Rama 1 Rd.,Bangkok
TEL:02-216-7368
時間:9:00〜18:00
料金:大人200B、22歳未満100B、10歳以下無料
URL:http://www.jimthompsonhouse.com/
MAP:Googleマップで確認
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