バンコクの旧市街にある旅人の聖地「カオサン通り」も今は人気観光スポットに!

観光旅行でも知っておきたい貧乏旅行のたまり場

カオサン メイン通り
カオサン通り。舗装工事が始まっており、きれいになってきている

かつて低予算旅行者のバックパッカーたちが集い、賑わった通りがある。バンコクの旧市街にあたるエリア、中心地から見ると西の方、チャオプラヤ河に近い場所にあるカオサン通りだ。東西におよそ400メートルのカオサン通りと、その周辺地域が外国人旅行者たちから「カオサン」と呼ばれる。

1990年代ごろから増加していたバックパッカーという旅行スタイル。日本でも某テレビ番組でユーラシア大陸をヒッチハイクで縦断する企画が大ヒットし、日本人バックパッカーも多かった。
誰もがカオサンを目指した。そんなカオサン全盛時代は2010年前後まで続いた。元々日本人に人気のあった安宿街はラマ4世通りのマレーシアホテル周辺や、中華街のジュライロータリー近辺だった。しかし、カオサンはそれらとは違っていた。ゲストハウスと呼ばれる安宿だけでなく、旅行代理店や国際電話サービス、飲食店やバー、土産物店など旅行者に必要なものがすべて揃っていたのだ。

カオサン トゥクトゥク
トゥクトゥクも多く待機している

カオサンが安宿街として知られ始めた90年代後半はまだネットもなく、宿でごろごろする一見不良な旅行者たちは口コミで各地の情報を交換した。人だけでなく、旅の情報もカオサンに集まり、世界へと発信している機能もあったのだ。
2000年代の初頭、タイのテレビ番組で外国人ばかりの街としてカオサンが紹介され、タイの若者たちも押し寄せてくるようになった。そうして昼夜問わずたくさんの人が訪れ、さらにそういった人々を当て込んだバーや飲食店も現れる。大資本が入り、ファストフード店やホテル、装飾の派手なバーなども登場し、カオサンは徐々にその姿を変えていく。
同時に、ネットが発達し、誰もがスマートフォンを持つ今、特に日本人バックパッカーはカオサンには来なくなった。情報収集は口コミである必要もないし、バンコクの中心地からカオサンまでの往復交通費を考えたら、中心地の中級ホテルに泊まった方が安いことに気がつき始めたのだ。

90年代のタイは「世界で最も航空券が安い国」として知られ、カオサンが特に安いと言われた。しかし、格安航空会社が台頭し、かつレガシーキャリアでも早割を利用すれば安い。ますますカオサンの魅力が失われていく。
泊まる日本人はかなり少なくなったが、カオサンは今、観光地として改めて注目される場所になっている。関わり方は大きく変わったものの、日本人観光客からのカオサン人気は健在なのだ。

買いものと飲食も充実している

カオサン マクドナルド
2000年代に入ってからできたマクドナルド

カオサン通りが今日本人観光客に注目されるのは、飲食店や各種ショップだ。
元々土産物店が多く、南部のビーチにありそうな、木製の楽器や玩具などが手に入った。ラインナップが「これぞ、タイのリゾート地の土産」といった感じで、見て歩いていて楽しい。
また、カオサン通りはかつてシルバーアクセサリーの問屋が多かった。それらの一部がいまだ残っている。比較的安く銀の指輪などが買える。さらに、昔ながらでいえば、有名企業のロゴを真似たようなB級的なデザインのTシャツなどもある。アウトドアの防水バッグも以外とクオリティーがよくておすすめだ。

カオサン ガパオ
ランブトリー通りの飲食店で食べたガパオライス

カオサンは飲食店も多い。本格的なタイ料理店もあるし、隣のランブトリー通りなどは遺跡をモチーフにしたオブジェなどで飾られた、異国情緒たっぷりのバーレストランも建ち並ぶ。これらがカオサンの西側にある寺院の裏にまで続き、多くの店がバンコク中心地では見られない規模とおしゃれ感があり、海まで行く時間がない人でもタイ・リゾートをたっぷりと感じることができる。

カオサン 夜
カオサン通り沿いの洒落た店

夜になればそれらのバーレストランはなおのこと雰囲気がよくなる。また、音楽も大音量でかかり、ちょっとしたクラブのような感覚で遊べる。こういった点がタイの若者や欧米人に受けていて、毎夜盛り上がっている。
チャオプラヤ河沿いに最も近いプラスメン通りは北側に公園があり、チャオプラヤ河を間近に眺めることができる。また、この通りにはタイ人学生向けの店が多く、比較的安めのバーがあったり、人気の店もある。

カオサン 屋台
クンデーンのクイッティアオ・ユアン

おすすめは、米粉麺の食堂「クンデーン」だ。ここはベトナム式米粉麺という意味の「クイッティアオ・ユアン」が人気。タイの麺類といえばクイッティアオだが、ユアンとつくと、タイ東北部やラオスで好まれるモチモチの食感の麺になる。食事時は行列ができるほどの人気店だ。

カオサンへの行き方はボートがおすすめ

カオサン チャオプラヤー
ラマ8世橋をプラスメン要塞跡地から眺める

カオサン人気が盛り返しているのは、交通の便がよくなってきたことも挙げられる。最寄りとは言いがたいけれど地下鉄MRTが2019年に延伸部が開通し、タイ最高峰の寺院「エメラルド寺院」や涅槃像で有名な「ワット・ポー」近辺まで近づいている。これまでと比べてカオサンに行きやすくなったのは事実だ。

カオサン 水上バス
チャオプラヤを航行するエクスプレスボート

また、昔からあるチャオプラヤ河を航行するエクスプレスボートもカオサン近辺に発着する。水上バスのような存在で、交通渋滞もなく高架電車のBTSにアクセスし、王宮や中華街など主要スポットにも行けるので、乗り方を憶えれば使いやすい。
カオサンはバンコクの旧市街にあたるエリアなので、見どころは多い。王宮やワット・ポーは徒歩圏内であり、ほかにも見るべき寺院も少なくない。チャオプラヤ河を渡ればタイの下町ピンクラオが広がっていて、ただ歩くだけでも一般タイ人の生活が垣間見られて楽しめる。

カオサン 公園
カオサン近辺の旧市街は緑も豊かだ

また、ピンクラオ・エリアにある国鉄のトンブリー駅からは、映画「戦場にかける橋」で有名なカンチャナブリにも行ける。まさにその戦場にかける橋であるクウェー川鉄橋まで1本で行けるのだ。片道2時間3時間なので、日帰り旅行でも十分に楽しめる距離感でもある。
このように「旅」がたくさん詰まっているのがカオサン通りで、それは案外、今も変わっていない。日帰りの観光スポットとして遊びに行くもよし、宿泊の拠点として利用するもよし。いろいろな使い方があるのがカオサンの魅力である。

カオサンマップ

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