タイの夜遊びの原点「カフェー」を楽しもう!
女性だって遊びに行ける飲食店
女性歌手が多いが売春関連施設ではないので、女性も遊びに行ける
「カフェー」がタイのナイト・エンターテインメントの原点だとされる。“カフェー”であって、喫茶店の“カフェ”ではない。
カフェーは本来、昔ながらのディナー用レストランだ。昔の日本には歌声喫茶なるものがあったが、それに似ているかもしれない。店には女性店員が多数いて、その大半が歌手として働いている。順番が来るとステージに上がり歌を披露する。この女性たちはホステスのような存在でもあり、あることをすると、その女性を自分の席に呼んで話したり、食事ができる。
だからこそ、タイのナイト・エンターテインメントの原点と言われる。
カメラを向けても誰も怒らない
カフェーには女性も入ることができる。なぜなら、カフェーはあくまでもレストランだからだ。男性歌手もいるし、女性が客として訪れてもなんら問題はない。
実際、店内でカメラを構えても歌手たちは嫌がる素振りもない。タイの売春施設などは撮影厳禁だし、女性たちも写らないようにすぐさま逃げ出す。つまり、カフェーの従業員たちはなんら法に触れることはしていないと誇りを持って働いているのだ。
花輪をかけることで歌手を呼ぶ権利が得られる
女性に花輪をかけてあげると席に呼べるシステムだ
一方で、カフェーの歌手は女性が圧倒的に多いのも事実だ。昔のタイでは酒を飲むのは男性で、そんな男性たちが遊びに来て、女性を口説いて夢を見る場所でもあったのも間違いないからだ。
ただ、カフェーは女性を外に連れ出すことはできないので、あくまでも口説き、後日デートの約束を取りつけなければならない。売春をしているわけではないので、歌手たちは金になびかないし、なかなか口説き落とせない。その手の届かないところがまた、男を駆り立てるのかもしれない。
いずれにしても、男たちは女性を口説かなければ話が始まらない。そこで歌手たちを自分の隣に呼ぶのだが、その権利はプアンマーライと呼ばれる花輪に託すことになる。この花輪は本来はジャスミンのつぼみなどで作り、寺院への参拝などに使う。しかし、カフェーにおける花輪の材料は「現金」である。
よく見ると1000バーツ分の花輪がかかっている
カフェーのシステムは、歌手に花輪をかけてあげることでスポンサーとして扱われ、女性を席に呼ぶ権利を持つことができる。気に入った歌手がいればウェイトレスに「○○○バーツの花輪を」と注文すると、店が現金をホチキスで留めた花輪を歌手にかけてくれる。このときの金額や最低限が決まっていて、上限がない。最低限は多くのカフェーが100バーツ(約350円)で設定している。あとは100バーツ単位で増やすことができ、店側の手数料として1回20バーツ(約70円)を払う。
実はこの歌手たちは給料をもらっていない。そのため、この花輪の金額はすべて女性の懐に入る。だからこそ、払ってくれたお礼として、歌手たちは花輪をもらうと席に来てくれるのだ。
ただ、人気歌手は注意が必要だ。ほかに客がいないときなら100バーツでも200バーツ(約700円)でも席に来て長くいてくれるが、競争相手がいると金額勝負になってしまう。タイ人の中には1回に1000バーツ(約3500円)をかける人もいる。そうなると金額が低い人は挨拶程度で終わってしまい、より高く払った方に長くいることになる。
だから、周りを見て状況判断をするなど、ちょっとした駆け引きもある。
ウドムスックの「ザ・サンカフェー」は行きやすいカフェー
ウドムスックのカフェーは料理もおいしい
何度も書くが、カフェーはタイのナイト・エンターテインメントの原点。すなわち、タイ人の遊び場である。ということは、タイ料理がおいしいということになる。本当にどのカフェーもタイ料理がおいしくて最高なのだ。これもまたカフェーの魅力のひとつだ。
たとえば、バンコクの高架電車BTSのスクムビット線にあるウドムスック駅に近い「ザ・サン・カフェー」だ。ウドムスック通りソイ58のこの人気店は、カシューナッツをただ炒めて塩を振ったものがあり、酒が進む進む。また、発酵した豚肉のスペアリブをから揚げにしたネーム・シークローン・ムー・トートは自家製の発酵豚肉なので、ほかにはない逸品と言えよう。さらに、日本でも人気のバジル炒めのご飯ガパオライスもやたらにおいしい。
しかも、このカフェーの料理は100バーツ前後が価格の中心となる。ウィスキーも日本人が飲むに耐えられる一番安いもので、100パイパーというブレンデッドがあるのだが、750ml瓶で500バーツ(約1750円)しない程度である。
外国人向けのバーなどで女性にドリンクなどを奢ると数百バーツかかってしまうが、ここは飲みものは客が頼んでいるものを一緒に飲み、食べる場合でも客の料理を一緒につまむ。つまり、花輪代がかかるだけで、ほかの出費がない。非常に安く飲めるので、懐にも優しい。
暗くてわかりづらいが、発酵豚肉のから揚げ
正直言えば、外国人向けのナイト・エンターテインメントではタイ人女性の口は非常に悪い。タイ語がわからないからと堂々と目の前で客の悪口を言う人もいる。もちろん全員ではないが。
しかし、タイ人向けの店ではどんなに場末でもそんなことはない。タイは銃社会であり、特権階級は極端な話、殺人を犯しても逮捕されない。そのため、口は災いの元になることを従業員たちは重々承知していて、客に悪態をつくことは一切ない。そのため、外国人にも優しいのがカフェーの特徴であり、魅力でもある。
残念ながら、カフェーはタイの若者も遊びに行かない場所になりつつある。一説では、バンコクにある本格的なカフェーはこのウドムスックの店を含めて10軒もないのではないかとさえ言われる。実際にウドムスックのほかにはチャオプラヤ河の西岸にあるピンクラオ通りや、バンコク郊外に一部ある程度だ。
だから、今後廃れる可能性のある夜遊びなので、ぜひとも今のうちに足を運んでおいてもらいたい。さすがに子どもは厳しいが、女性は問題なくは入れるので、みんなでタイに遊びに来たついでに寄ってみてはいかがだろうか。
【データ】
店名:ザ・サンカフェー
時間: 19時ごろ~26時ごろ(歌手は22時ごろ)
住所:UdomusukRd. Soi58, Sukhumvit 103 Rd.
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