タイの庶民の味パッタイを食べるなら 元祖発祥の店「ティップサマイ」で匠の技を味わおう!
タイ料理の代表格のひとつ「パッタイ」。直訳すると「タイ炒め」。センレックという平たい米粉の麺を海老やニラ、もやしなどと共に炒めた、いわゆるタイ風焼きそばで、屋台はもちろん高級レストランのメニューとしてもおなじみ。タイ料理四天王に君臨していると言っても過言ではないでしょう。
そんなパッタイが生まれたのは第二次世界大戦下。深刻な米不足だった当時、米の代わりに入手しやすかったライスヌードルを食べることを奨励したレーク・ピブーンソンクラーム首相による、「民主主義を目指すために、地元産の素材を使った国民食を作ろう!」という発案によって、生み出されたのが始まりなのだとか。
タイ料理四天王「パッタイ」。屋台から高級レストランまでいたる所で食べることができます。
このパッタイを発案したまさに発祥の店が、王宮近くの旧市街に位置する「ティップサマイ」。実に60年以上の歴史を持つ老舗で、「タイで一番おいしいパッタイ!」と世界中のメディアが称賛し続けているのです。17時の開店前から長い行列ができ、閉店近くまで列が途絶えないというスゴイ店。
ちなみに、ミシュランガイド2018年バンコク版ではビブグルマンにも選出され、さらにその知名度が世界中に拡散されているとかいないとか。
1966年に「ティップサマイ」という店名になるまでは、近くに死刑囚の刑務所があったため「パッタイプラトゥーピー」(プラトゥーピー=死者の門の意)と呼ばれていたとか。
17時の開店前からこの長蛇の列! 地元タイ人はもちろん、世界中からゲストがやってきます。
あまりの行列に一瞬怯んでしまいそうになりますが、そこはご心配なく。席数が多く、回転も早いので意外とすぐに店内へ入れます。店先に設置された調理場の炭火で、まるでマジックかの如く鮮やかな中華鍋さばきで大量のパッタイを次々と仕上げていく様子を眺めているとあっという間!
調理場は店先。休む暇なく汗だくでフライパンを振るい続けています。
炭火で作り上げるから美味しさが違う!
レトロな雰囲気でまとめられた店内の壁には世界中のメディアの取材記事がずらりと、誇らしげに飾られていました。パッタイ専門店だけにもちろんメニューはパッタイのみなのですが、極々ベーシックな干しエビと卵のみのもの、ベジタリアンメニュー、海老入り、卵包みのものなど全部で5種類。
レトロな雰囲気の店内。壁にはずらりと取材された記事が飾られています。
一番人気を誇るという「パッタイホーカイ」(90バーツ)をいただいてみましょう。ホーカイとは卵包みの意味で、透けて見えるほどに薄い卵でパッタイをキレイに包み込むという、もはや「匠の技」のようなテクニックで仕上げた一品。卵を破ると、中から現れるのはオレンジ色に色づいたパッタイにしてはかなり細めのライスヌードル。この細麺にしっかり絡んでいるのは深みのあるコクを感じるちょっぴり甘めのソース……。
パッタイにありがちな油っぽさが全くなく、上品なおいしさが口いっぱいに広がっていきます。この旨味の秘密は、海老味噌を使っているから。実は筆者、それほどパッタイが好きではありませんが、「ティップサマイ」のパッタイは時々無性に食べたくなるときがあるほど。
一番人気の「パッタイホーカイ」(90バーツ)。
こちらは卵を混ぜ入れた通常バージョンのパッタイ(90バーツ)。
一風変わったメニューなら、パッタイの超豪華版「パッタイソンクルアン」(300バーツ)をオーダーしてみては。ソンクルアンとは「全部乗せ」という意味で、海老、カニ、イカ、青いマンゴーが下の麺が見えないくらいたっぷりと乗っています。コクのある麺と海鮮の旨味に、ほんのり酸っぱい青マンゴーの風味がいいアクセント。
豪華バージョンの「パッタイソンクルアン」(300バーツ)。
ちなみに「ティップサマイ」でオーダーし忘れてはならないのが「オレンジジュース」。ぷりぷりの果肉がたっぷり入った甘〜い生搾りオレンジジュースはなんと時価!!
パッタイより高い場合もあるかもしれませんが、本当においしいので、こちらもマストオーダーでお願いします!
果肉たっぷり甘くてさわやか「オレンジジュース」(時価)と、やさしい甘みが広がるココナッツシェイク「マプラオナムホーンクレッナムケーン」(30バーツ)。
店内には「ティップサマイ」の歴史を展示したちょっとしたエキシビジョンスペースと、お土産コーナーもあり。オリジナルのパッタイソースや麺も販売されているので「ティップサマイ」の味をぜひご家庭でもお楽しみあれ!
パッタイ資料館的なエキシビジョンスペースも。
オリジナルのパッタイソースや麺はお土産にぴったり!
創業者のイラスト入りのレトロかわいいグラス。他にTシャツなどのグッズもあり。
【データ】
名称:THIP SAMAI(ティップサマイ)
場所:王宮周辺エリア、旧市街のマハーチャイ通り
時間:17:00〜02:00
定休:なし
電話:02−2226−6666
URL: https://thipsamai.com/
地図:
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